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【映画レビュー】『エレベーション 絶滅ライン』 「標高2,500m以上が生存ライン」?ミステリアスなモンスターが複雑な世界を想起させる物語

  • 執筆者の写真: 黒野でみを
    黒野でみを
  • 2025年7月23日
  • 読了時間: 5分
(C)2024 6000 Feet, LLC. All Rights Reserved.
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今回紹介する作品は、アンソニー・マッキー主演のモンスター・パニック映画エレベーション 絶滅ライン』。


突如として地上に現れ、人類を絶滅の危機に追いやろうとするモンスター「リーパー」と、息子の生存に命を懸ける父との壮絶な戦いを描いたこの物語。ハラハラドキドキのアクションもさることながら、正体不明のモンスターが見せる振る舞いにさまざまな思想が想起させられる秀逸なアクション大作であります。


【概要】

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謎のモンスターの出現により人類が標高2500メートルを超える山の上へと追いやられた世界を舞台に描くサバイバルスリラー。


『ボーン・アルティメイタム』の脚本や『アジャストメント』を手がけたことで知られるジョージ・ノルフィ監督が作品を手がけました。キャストには『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』のアンソニー・マッキー、『デッドプール』のモリーナ・バッカリン、『マリグナント 狂暴な悪夢』のマディー・ハッソンらが名を連ねています。


2024年製作/91分/G/アメリカ

原題:Elevation

配給:アットエンタテインメント

劇場公開日:2025年7月25日


【監督】

ジョージ・ノルフィ


【出演】

アンソニー・マッキー、モリーナ・バッカリン、マディー・ハッソン、ダニー・ボイド・Jr.ほか


【あらすじ】


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ある日地球上で「リーパー」と呼ばれる謎のモンスターが地下から出現します。


そしてモンスターが出現して3年、人類の95%が死に追いやられます。しかしなぜか標高2500メートル以上の山岳地帯には追ってこないリーパー。生き残った人々は、リーパーが侵入してこない山奥で、孤立したコミュニティを形成して暮らしていました。 妻をリーパーに殺された男ウィルは、ロッキー山脈の避難所で幼い息子ハンターとともに生活していましたが、肺の病を抱える息子の薬が不足し命の危機に。そこでウィルは薬を求め、リーパーを倒す方法を研究している元科学者ニーナらとともに、高度2500メートルのラインを越えて山の麓の病院を目指すことを決意しますが……。



『エレベーション 絶滅ライン』の感想・評価】

疑問符だらけのモンスターに見えてくる「世界の分断」の真理

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まるでものさしで測ったかのように「標高2,500m以上」という、人類の生存ポイントが設けられたこの物語。


「え?それどういうこと?」この物語の前提を聞けば、おそらく多くの人にとってそれは疑問に思われるはず。そもそも人類に対する脅威となる「リーパー」なるモンスターの正体、その目的も分からないままに進んでいくストーリーに、どのような結末へと導かれるのかと非常に強い興味を覚えていくでしょう。

一方で「リーパー」からの攻撃を避けるべく避難した人々の、閉塞感が広がりながらも変わらぬ日常に努める表情。特にアンソニー・マッキー演じるウィルと息子のハンターという二人の間に見える人間関係は、「リーパー」によってむしばまれた人間社会とはまったく対称的。


この二つの光景に見られる大きなコントラストは、ある意味近年世界のあちこちで見られる世界の分断のさまを見ているかのよう。


国という単位での争いとは全く迎合せず日常を生きる国の人たち。そして一本の線を隔てて人々の生死が変わるという状況。モンスターの存在はどこか突拍子もないものでありながら、どうにも何かの絵空事とは思えない不安感の覚えさせるものとなっています。

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一方、ジョージ・ノルフィ監督は本作の重要なポイントとして人間は自ら破滅を招き得る」という点を挙げ、本作のモンスターについては「私たちが自分自身にしてきたこと、つまり私たちの心の産物を象徴している」と語っています。


特に人をエサにするというわけでもなく、とにかく人を見つければ文字通り「切り刻んで殺してしまう」というモンスター。その造形や動きは注目ポイントでもありますが、「リーパー」という表現がなるほどしっくりくるようなデザインでもあり、何の目的で地上に現れ、人を襲うようになったのか、何のために人類の95%を死滅させたのかと、さらなる興味を引くものとなっています。


まさにモンスターは、どこかのゆがみで生じた「人間たちが作り出した、自らを破滅に導くもの」というものにも見えてくるわけですが、そのヒントは物語のクライマックスで映し出される驚愕のシーンにヒントが隠されています。この答えは本作では明確に出されず、なにか続きがあることを匂わせて幕が下りていきます。

(C)2024 6000 Feet, LLC. All Rights Reserved.
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ウィルたちの運命という点で一度決着はつけながら、果たして世界では何が起きたのか?そのエンディングはまるで見ている側自身に問いを突き付けられるような展開でもあります。

非常に複雑な社会情勢をうまくパニック作品的なストーリーに落とし込んだこの物語ですが、アクション作品としても見応えは十分。「リーパー」から逃げまとうウィルたちの逃亡劇はよく練られた展開で描かれており、映画館で見ればきっとスクリーンに釘付けになること間違いなし。


親としての表情、ニーナとの確執など、複雑な思いを抱えながらも生きるため運命に抗うウィルを演じたマッキーの存在感も非常に優れたもの。エンタメ性の中でさまざまなメッセージ性を匂わせる優れた作品であるといえるでしょう。

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